中小企業のAI導入|補助金・相談窓口など使える公的支援
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この記事のまとめ
人も予算も限られた中小企業がAIを導入するときは、国の補助金と相談窓口を使えます。この記事では、2026年度のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の仕組みと、費用のかからない相談先、セミナーの探し方を、公式情報をもとに整理します。
この記事の補助金と窓口の内容は、2026年10月2日に中小企業基盤整備機構(中小機構)と中小企業庁の公式サイトで確かめたものです。公募の条件や締切は回ごとに変わります。申請の前に、末尾の出典から最新の公募要領を確かめてください。
中小企業のAI導入では、何を入れるかを決める前に、どの業務で使うかを決めることが出発点です。補助金も相談窓口も、使う業務が決まっているほど話が早く進みます。
中小企業のAI導入でつまずきやすい点
2026年版中小企業白書の概要によると、AI活用に取り組んだ中小企業は約3割(30.3%)でした。取り組んでいない企業に理由を尋ねると、「活用する業務がイメージできていない」が63.4%で最も多く、「活用を推進する人材が不足している」が40.0%、「社内ルール・ガイドラインが整備されていない」が26.2%と続きます。
つまり、つまずきやすいのは予算より前の段階です。どの業務に使うかが見えない、進める人がいない、ルールがないの3つです。この記事で紹介する支援は、この3つにそれぞれ対応しています。
いま何に困っているか
デジタル化・AI導入補助金の対象と申請の流れ
IT導入補助金は、2026年度からデジタル化・AI導入補助金という名前になりました。中小企業・小規模事業者などの労働生産性の向上を目的に、業務効率化やDXのためのITツールの導入を支援する補助金です。公募要領では、ITツールのソフトウェアにAIが含まれると定めています。
補助の対象になるもの
対象になるのは、事前に事務局の審査を受け、補助金のサイトに登録されたITツールだけです。申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と組んで行います。自社で見つけたAIエージェントでも、ITツールとして登録されていなければ対象になりません。補助金のサイトのITツール検索で、AIを搭載しているかを含めた機能の概要を調べられます。
通常枠では、ソフトウェアの購入費、クラウドの利用料(最大2年分)が対象です。導入時のコンサルティング、設定、研修、保守サポートといった役務も対象に含まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2以内。令和6年10月〜令和7年9月の間に3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇っていた従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合は2/3以内 |
| 補助額(1プロセス以上) | 5万円以上150万円未満 |
| 補助額(4プロセス以上) | 150万円以上450万円以下 |
| 主な対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入・活用の支援、保守サポート |
プロセスとは、ソフトウェアが受け持つ業務の範囲のことで、顧客対応・販売支援、会計・財務・経営などに分かれています。たとえば補助率1/2以内の場合、補助の対象になる費用が100万円なら、補助額は50万円以内です。
補助率2/3以内になる場合もある。補助額には下限と上限がある
申請の流れ
- 1制度を理解する公式サイトと公募要領を読む
- 2GビズIDプライムを取る発行までおおむね2週間
- 3SECURITY ACTIONを宣言するおおむね2〜3日
- 4支援事業者とツールを選ぶ
- 5共同で交付申請する
- 6交付決定の後に契約・導入する決定前の契約は対象外
- 7実績報告を出す額が確定してから補助金が交付される
申請には、GビズIDプライムと、IPAのSECURITY ACTIONの宣言(一つ星か二つ星)が要ります。GビズIDプライムの発行には、おおむね2週間かかると案内されています。最も気をつけたいのは順番です。交付決定の前にITツールを契約や発注した場合は、補助の対象になりません。
2026年10月時点で公表されている通常枠の6次締切は、2026年10月30日(金)17時です。交付決定は2026年12月10日(木)の予定で、事業の実施と実績報告の期限は2027年5月31日(月)17時の予定です。以降の回は、事業スケジュールのページで随時公表されます。
よろず支援拠点など費用のかからない相談窓口
どの業務にAIを使うかが決まっていない段階では、補助金より先に相談窓口を使います。次の窓口は、どれも国や中小機構が運営し、相談に費用はかかりません。
- よろず支援拠点:国が47都道府県に設置した経営相談所。課題の大小を問わず何度でも相談できる。2026年4月1日からは、拠点の中に生産性向上支援センターも設けられた
- IT経営サポートセンター:中小機構の、ITの専門家とのオンライン面談。1回60分で何度でも使え、AI活用を検討している人も対象にしている。特定のツールや業者に偏らない立場で助言すると案内している
- デジwith:中小機構のポータルサイト。IT戦略ナビwithで、5分ほどの質問に答えると自社のデジタル化の状況と、課題に合うITの使い方が分かる
よろず支援拠点の全国本部は、各地の拠点に登録されたAIアドバイザーの一覧も公開しています。AIの相談をしたいときは、近くの拠点にその旨を伝えて予約すると話が早く進みます。予約は、電話、メール、FAXなどで受け付けています。生産性向上支援センターは、人手不足などの課題を抱える中小企業のために国が拠点の中に置いた組織で、生産性向上の専門家が現場に来て支援すると案内されています。手作業が当たり前になっている業務の見直しから相談できます。
公的機関のセミナー・学習の場
AIエージェントや業務自動化のセミナーを探すときは、公的機関の情報から当たると、特定の製品の宣伝に偏りにくくなります。
- J-Net21の支援情報ヘッドライン:国や都道府県の補助金、セミナー、イベントの情報をまとめて検索できる
- 中小企業大学校:中小機構が全国9か所とWebで、経営者や後継者などに向けた研修を開いている
- IT経営サポートセンター:学ぶ前に、自社で何から始めるかを専門家と整理できる
参加費の有無や内容は、セミナーごとに違います。申し込む前に、主催者と費用を確かめてください。社内で研修を組む方法はAIエージェントの研修で説明しています。
少人数で始める最初の1業務
少人数の会社では、最初から複数の業務に広げず、1つの業務で試します。中小企業白書の概要では、AIを活用している中小企業の部門として、バックオフィス部門や営業・販売・顧客対応部門が挙げられています。選ぶときは、次の条件に合う業務を探します。
- 毎週くり返していて、手順を書き出せる
- AIが間違えても、社外に出る前に人が直せる
- 顧客の個人情報を入力しなくても試せる
- かかった時間を、始める前と後で比べられる
業務が決まったら、小さく試して効果を測ります。進め方の全体はAIエージェント導入の進め方、費用の見積もり方はAIエージェントの費用にまとめています。
支援制度を使うときの注意
- 補助金は、代金を支払って実績報告を出し、額が確定した後に交付される。それまでの費用は自社で立て替える
- 交付決定の前に契約や発注をすると対象外になる
- 対象は事務局に登録されたITツールと、登録されたIT導入支援事業者に限られる
- 公募の条件と締切は回ごとに変わる。申請の前に最新の公募要領を読む
補助金のサイトは、ITツールを実質的に無償で提供したり、値引きしたりする販売は不正であり、犯罪だと注意しています。キャッシュバックをうたう勧誘も、不正の可能性があるとしています。不正と判断されると、交付決定の取消や補助金の返還請求の対象になります。事務局は、IT導入支援事業者の登録取消の一覧も公表しています。補助金があることを理由に契約を急がせる業者には注意してください。
補助金を使わずに小さく試す方法もあります。Employee Store は、開発者が作ったAIエージェント(AI社員)を、会社が買い切りや月額で導入できるマーケットプレイスです。出品ページで仕事内容、対応ツール、価格を確かめ、購入前に出品者へ質問できます。補助金の対象になるのは登録されたITツールだけなので、補助金を使う場合は必ず事前に確かめてください。
よくある質問
- AIエージェントの導入に補助金は使えますか?
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、AIを含むソフトウェアを対象にしています。ただし、対象は事務局に登録されたITツールだけで、登録されたIT導入支援事業者と組んで申請します。交付決定の前に契約や発注をすると対象になりません。
- AI導入について費用をかけずに相談できる窓口はありますか?
- よろず支援拠点は、国が47都道府県に設置した経営相談所で、何度でも相談できます。中小機構のIT経営サポートセンターでは、ITの専門家と1回60分のオンライン面談ができ、AI活用の相談も受け付けています。どちらも相談に費用はかかりません。
- 参加費のかからないAIのセミナーはどこで探せますか?
- 中小機構のJ-Net21にある支援情報ヘッドラインで、国や都道府県のセミナーやイベントを検索できます。参加費の有無はセミナーごとに違うため、申し込む前に主催者の案内を確かめてください。
出典
- 中小企業庁・中小機構「デジタル化・AI導入補助金2026」(2026年10月2日確認)
- デジタル化・AI導入補助金「制度概要」
- デジタル化・AI導入補助金「通常枠」
- デジタル化・AI導入補助金「新規申請・手続きフロー詳細」
- デジタル化・AI導入補助金「事業スケジュール」
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠、PDF)
- デジタル化・AI導入補助金「不正行為にご注意ください」
- よろず支援拠点全国本部「よろず支援拠点・生産性向上支援センターとは」
- よろず支援拠点全国本部「令和8年度 AIアドバイザー登録者一覧表」(PDF)
- 中小機構「IT経営サポートセンター」
- 中小機構「ITプラットフォーム(デジwith)」
- J-Net21「支援情報ヘッドライン」
- 中小機構「中小企業大学校」
- 中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要」(PDF)


