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AIエージェントとエージェンティックAIの違い|言葉の範囲を整理

・ Employee Store 運用局

この記事のまとめ

AIエージェントとエージェンティックAIは、似た言葉ですが、指す範囲が違います。しかも、その範囲は資料ごとに少しずつ違います。この記事では、公的資料と各社の資料での書かれ方を並べ、製品を選ぶときに言葉より先に確かめることを説明します。

この記事の内容は、2026年10月2日に各資料で確かめたものです。AI事業者ガイドラインは改訂が続いています。末尾の出典から最新の内容を確かめてください。

AIエージェントとエージェンティックAIの違いを一言でまとめると、前者は仕事をする1つの仕組み、後者はそれより広い範囲を指す言葉です。ただし、どこまでを含めるかは資料によって違います。

3つの言葉はどう使われているか

よく見かけるのは、AIエージェント、エージェンティックAI、エージェント型AI(エージェントAI)の3つです。英語では AI agent と agentic AI が使われます。この記事で確かめた公的資料には、エージェント型AIとエージェントAIという言い方は出てきませんでした。この記事では、どちらも agentic AI や AI agent を日本語で言い換えたものとして扱います。

資料ごとの書かれ方(2026年10月確認)
資料使っている言葉書かれ方
AI事業者ガイドライン(第1.2版)AIエージェント、エージェンティックAIAIエージェントは本文で定義。エージェンティックAIは脚注で、より包括的な概念として補足
Anthropicagentic systemsワークフローとエージェントの両方をまとめた呼び方。そのうえで2つを区別する
OWASPagent、agentic AI system2つを並べて書き、計画と推論、記憶、行動とツール利用を持つものとして説明
Difyagentic workflowsAIモデル、ツール、条件分岐を決めた流れに組み込んだワークフローを指す
OpenAI Agents SDKagentic AI apps指示とツールを持つエージェントを組み合わせて作るアプリを指す

OWASP の資料は、エージェンティックAI自体はLLMより前からあり、LLMと組み合わさって規模と能力、リスクが大きく広がったと書いています。そのうえで、詳しい定義と構成を示すことは資料の範囲外としています。セキュリティの資料でも、言葉の厳密な線引きには踏み込んでいません。

表のとおり、同じ agentic という語でも、手順を人が決めるワークフローまで含める資料があります。言葉だけで製品の動き方は決まりません。

AIエージェント:仕事をする1つの仕組み

総務省と経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.2版)は、AIエージェントを、特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステムと定義しています。参考として、国際規格 ISO/IEC 22989:2022 の定義も載っています。自動化された主体であり、環境を感知して応答し、自らの目標を達成するために行動を取るもの、という内容です。

ここでの自律は、高度な自律だけを指しません。ある程度の自律性を持つものも含みます。ガイドラインの別添には、AIエージェントの例として、ワークフローに従って動くAIエージェントを作るサービスや、旅行先の提案から予約まで行うサービスが載っています。

営業やカスタマーサポートを支える例もあります。顧客管理や営業支援のシステムと連携し、質問に答えるだけでなく、見込み客の管理、商談の日程の調整、相手に合わせたメールの配信までを続けて行うサービスです。どの例も、1つの目標に向けて、システムと連携しながら仕事を進める仕組みとして書かれています。

ガイドラインの別添は、AIエージェントの便益も書いています。利用者の意図を理解して自律的に仕事を進め、複数のシステムやアプリと連携して状況に応じた判断をすることです。これにより、人手に頼っていた調整・分析・意思決定を自動化できるとしています。

製品で言えば、n8n の AI Agent ノードや Dify の Agent で作ったものが、AIエージェントにあたります。部品の中身はAIエージェントの仕組みで説明しています。

エージェンティックAI:自律的に動く性質や設計の考え方

AI事業者ガイドラインは、脚注で、エージェンティックAIをAIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念と書いています。複数のAIエージェントにより自律的に意思決定を下し、アクションを起こす、目標主導型のAIシステムという説明です。

Anthropic は、別の切り口で agentic という語を使います。前もって決めた流れで動くワークフローと、LLMが自分で流れを決めるエージェントを、まとめて agentic systems と呼んでいます。つまり、エージェントのように動く性質を持つ仕組み全体を指す使い方です。

言葉が指す範囲の違い

AIエージェント

  • ガイドラインの本文で定義
  • 目標のために自律的に行動するAIシステム
  • 1つの仕組みを指す

エージェンティックAI

  • ガイドラインの脚注で補足
  • 複数のAIエージェントで意思決定し行動する
  • AIエージェントより広い概念

agentic systems

  • Anthropic の使い方
  • ワークフローとエージェントの両方
  • エージェント的な性質を持つ仕組み全体

ワークフロー型と自律型の違いそのものは、AIエージェントの種類で整理しています。

公的資料での書かれ方

AI事業者ガイドラインは、2025年3月に第1.1版が公表され、2026年3月31日付の第1.2版でAIエージェントの定義が加わりました。総務省と経済産業省の更新内容の資料によると、エージェンティックAIは、技術の動向をふまえ、この年度は脚注での補足にとどめています。次年度以降に、外部の文献も参照して定義とリスクを追記していく想定と書かれています。

AI事業者ガイドラインでの扱いの流れ
  1. 12025年3月第1.1版を公表
  2. 22026年3月31日第1.2版。AIエージェントの定義を追加し、エージェンティックAIは脚注で補足
  3. 3次年度以降エージェンティックAIの定義とリスクを追記していく想定

リスクの書き方にも差があります。AIエージェントについては、人の意図しない商品の注文やファイルの削除、外部との連携の途中で内部データが外に送られるおそれが挙げられています。エージェンティックAIについては、AIが他のAIと接続し、ネットワーク化することで、リスクが生まれたり増えたりする可能性に留意するよう書かれています。

別添には、AIエージェントの自律性が高まると、人による監視だけでは、AI同士の速いやり取りに追いつけない場面が考えられるとも書かれています。AIシステム同士で見張り合うなど、新しい安全の確保の方法の検討が期待されるとしています。複雑な構成を持つAIエージェントは、通常のAIシステムよりも保守や不具合の調査が難しくなる場合があるとも書かれています。

更新内容の資料には、説明の受け取り方の注意もあります。AIエージェントの自律的な判断を監査するには説明できることが大切ですが、LLMが示す根拠は、内部の決め方を説明したものではありません。もっともらしい理由を出力しているに過ぎない、と明記されています。

更新内容の資料によると、第1.2版ではリスクの記述も増えました。自然な言葉を使った攻撃、入力の経路や連携先が多いことによる攻撃される範囲の広がり、内部の構造が複雑なことによる制御の難しさです。AIを提供する側の留意点として、適切な権限設定と、連携するツールやシステムの制限が加わりました。

OWASP の資料は、記憶とツールの連携を、エージェントへの攻撃の主な入り口に挙げています。対策として、利用者の代わりに動くときの権限を、最小限にしぼることを求めています。

製品を選ぶときに言葉より見るべきこと

製品の説明に、AIエージェント、エージェンティックAI、エージェント型AIのどれが書かれていても、それだけで動き方は分かりません。次の点を、説明や問い合わせで確かめます。

  • 手順は誰が決めるか:作る人が決めたワークフローか、AIがその場で決めるか
  • 何体で動くか:1つのAIか、複数のAIが分担して連携するか
  • どのツールに、どこまでの権限を渡すか:読むだけか、書き込みや送信までするか
  • 人の承認はどこに入るか:送信、公開、支払い、削除の前に止まるか
  • 操作の履歴を後から見られるか
  • 社内のデータをどこまで扱い、外部のどのサービスに送るか

特に、複数のAIが連携する製品では、どのAIがどの判断をしたかを追えるかを確かめます。AI事業者ガイドラインが、AIのネットワーク化でリスクが増える可能性に触れているためです。権限については、OWASP の資料が、エージェントが利用者より強い権限を持つと、紛れ込んだ指示にだまされて、利用者自身にはできない操作をしてしまうおそれを挙げています。

AI事業者ガイドラインは、利用する側の留意点として、人の判断を挟む仕組みにもとづく判断と、定期的な操作履歴の確認を挙げています。言葉より、これらの答えの方が、導入後の運用に直接関わります。

Employee Store で確かめること

Employee Store は、開発者が作ったAIエージェント(AI社員)を、会社が導入できるマーケットプレイスです。掲載の形式は問わないため、ワークフローで作ったものも、自社開発のエージェントも並びます。呼び方より、上の6つの点を掲載ページで確かめてください。

購入後は、取引ごとのページで出品者とメッセージをやり取りし、納品物の確認と受領ができます。AI社員という呼び方の意味は、AI社員とはで説明しています。

よくある質問

エージェンティックAIとAIエージェントは同じものですか?
AI事業者ガイドライン(第1.2版)では区別されています。AIエージェントは目標のために自律的に行動するAIシステムで、エージェンティックAIは複数のAIエージェントで意思決定し行動する、より包括的な概念として脚注で補足されています。
エージェント型AIとは何ですか?
この記事で確かめた公的資料には、エージェント型AIという言い方は出てきませんでした。製品の説明でこの言葉を見たときは、手順を誰が決めるか、何体で動くか、どこで人の承認を挟むかを確かめてください。
エージェンティックAIの公的な定義はありますか?
2026年10月時点のAI事業者ガイドライン(第1.2版)では、脚注での補足にとどまっています。更新内容の資料には、次年度以降に定義とリスクを追記していく想定と書かれています。

この記事を書いた人

Employee Store 運用局AIエージェントのマーケットプレイス「Employee Store」の運用チームです。ツールの機能や料金は各社の公式情報で確かめ、出典を記事の最後に載せています。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。

出典

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