AI社員をSlack・Teamsで使う|チャットから仕事を頼む仕組みと準備
・ Employee Store 運用局

この記事のまとめ
AI社員に仕事を頼む場所として、ふだん使っている社内のチャットツールを使えます。この記事では、Slack や Teams とAIをつなぐ仕組みと、つなぐ前に決めることを説明します。LINE、Notion、Discord から使う場合の注意点も、各社の公式ドキュメントで確かめた内容でまとめます。
この記事の仕様と料金の仕組みは、2026年10月2日に Slack、Microsoft、LINEヤフー、Notion、Discord の開発者向け公式ドキュメントで確かめたものです。
AI社員を Slack から使えるようにすると、ふだんの会話と同じ場所で仕事を頼めます。ただし、チャットツールとAIをつなぐには、ボットの登録、権限の設定、管理者の許可が要ります。順に説明します。
チャットから頼む形が使われる理由
チャットから頼む形には、新しい画面を覚えなくてよいという利点があります。社員は、同僚に頼むのと同じようにAI社員に話しかけます。結果も同じチャンネルに返るため、他のメンバーも経過を見られます。
チャットツールの側も、AIエージェントを迎える機能を用意しています。Slack の開発者向けドキュメントは、エージェント用の画面として、分割表示の画面、上部のナビゲーションの入口、アプリのスレッド、文字のストリーミング表示、質問の候補の表示を挙げています。Microsoft も、Teams の中でエージェントを作るための Teams SDK を提供しています。
一方で、チャットには向かない仕事もあります。長い資料や表を返す仕事は、チャットの中では読みにくくなります。チャットでは依頼と短い報告だけを受け、成果物はファイルや共有フォルダに置く形にすると、流れて見失うことを防げます。
仕組み:チャットツールとAIをつなぐボット
チャットツールとAIの間には、ボットと呼ばれる中継役が入ります。ボットはチャットツールに登録したアプリで、メッセージを受け取ってAIに渡し、AIの答えをチャットに返します。
- 1社員が話しかけるボットへのメンションやDM
- 2チャットツールが知らせるイベントをボットのサーバーへ送る
- 3ボットがAIに渡す指示と必要な情報をまとめる
- 4AIが処理する社内のツールやデータを使う
- 5ボットが返信する同じスレッドやチャンネルに返す
ボットのサーバーは、自社で用意するか、n8n などの自動化ツールで代わりに受けます。n8n を使う場合のつなぎ方は、n8nの連携で説明しています。
Slackでつなぐときの準備
AI社員を Slack から使うには、Slack アプリを作り、ワークスペースにインストールします。準備することは次のとおりです。
- スコープを決める:Slack アプリは、OAuth のスコープで、何にアクセスできるかが決まる。必要なものだけを選ぶ
- ボットトークンを使う:ボットトークンは特定の人ではなくアプリに結びつくため、インストールした人のアカウントが止まってもアプリは残る
- イベントを受け取る:Events API で、メンションなどのイベントをボットに送ってもらう。メンションだけを受けるなら app_mention イベントと app_mentions:read のスコープを使う
- 受け取り方を選ぶ:公開のURLで受けるか、Socket Mode で受けるかを選ぶ
Socket Mode は、公開のURLを用意せずに、WebSocket でイベントを受け取る方法です。Slack は、社内のファイアウォールの内側で開発する場合など、固定のURLを外に出せないときに役立つと説明しています。社内だけで使うAI社員なら、この方法も選べます。なお、Socket Mode のアプリは、公開の Slack Marketplace には載せられません。
ボットが受け取れるのは、アプリを認可した人が見られる範囲のイベントです。たとえば、ボットが参加しているチャンネルのメッセージは、対応するイベントを購読していれば受け取れます。どのチャンネルにボットを入れるかが、そのまま AI社員が見られる範囲になります。
MCPでつなぐ方法
Slack は、MCP(Model Context Protocol)でAIとつなぐ方法も2つ用意しています。Slackbot MCP Client は、外部の MCP サーバーを Slack につなぎ、Slackbot が会話の中でそのサーバーの道具を使えるようにします。Slack MCP Server は、MCP に対応したAIのアプリから、チャンネルの検索、メッセージの送信、Canvas の管理などを行えるようにします。前者は Slack の中から外の道具を使う形、後者は外のAIから Slack を操作する形です。
Teamsでつなぐときの準備
Teams では、ボットやエージェントを Teams アプリとして登録します。Microsoft は、Teams 向けのエージェントを作る道具として Teams SDK を提供しています。以前の Teams AI ライブラリが改名されたもので、JavaScript と C# は一般提供、Python は開発者向けプレビューです。MCP やエージェント同士の通信にも対応しています。
Microsoft の説明では、Teams のボットはテキストの会話で利用者とやり取りするアプリです。決めたルールに従って答えるものもあれば、AIで自然な言葉を理解し、複雑な会話をこなすものもあります。AI社員は後者にあたります。
- カスタムアプリのアップロードを許可する:自社で作ったアプリを入れるには、管理者が Teams 管理センターで設定を有効にする。有効になるまで最大24時間かかることがある
- アプリのパッケージを作る:アプリは .zip のパッケージとしてアップロードする
- 展開の範囲を決める:Microsoft は、1つのコードで Teams、Outlook、Microsoft 365 に展開できると説明している
Microsoft 365 の中でエージェントを作る場合は、Copilot Studio から Teams に公開する方法もあります。違いはCopilotでAIエージェントを使うで説明しています。
LINE・Notion・Discordから使う場合
LINE
LINE では、LINE公式アカウントと Messaging API を使います。ユーザーがLINE公式アカウントにメッセージを送ると、LINEプラットフォームからボットのサーバーの Webhook URL にイベントが届きます。ボットは、受け取った応答トークンを使って返信します。1回の返信で、メッセージは5つまで送れます。グループトークでメッセージを送ることや、ユーザーが送った画像やファイルを受け取ることもできます。ユーザーが送ったコンテンツは、一定期間が過ぎると自動で削除されます。
料金の数え方に注意します。LINE公式アカウントのプランごとに、毎月追加料金なしで送れるメッセージの通数が決まっています。プッシュ、マルチキャスト、ブロードキャスト、ナローキャストで送ったメッセージは、この通数に数えられます。ユーザーへの応答メッセージは数えられません。上限を超えて送ろうとすると、エラーになり送信されません。
Notion
Notion では、コネクションを作ってAPIで読み書きします。社内向けのコネクションを作るには、ワークスペースのオーナーである必要があります。コネクションが読めるのは、ページの「…」メニューの「Add connections」で共有したページだけです。共有していないページへのリクエストは、エラーになります。APIトークンは秘密の情報として扱い、ソースコードに書かずに環境変数などで渡します。
Discord
Discord のボットがメッセージの本文を読むには、MESSAGE_CONTENT という特権インテントが要ります。インテントがない場合でも、ボットへのメンション、ボットとのDM、ボット自身が送ったメッセージの本文は受け取れます。利用者が1万人未満のアプリは、開発者ポータルで特権インテントを有効にするだけで使えます。
チャンネルと権限の決め方
チャットから頼める形は便利ですが、誰でも何でも頼める状態にはしません。AI社員がどこで、誰の依頼を、どこまで実行するかを決めます。
誰が、どこで頼むか
- 専用のチャンネルを作る:AI社員への依頼は、決めたチャンネルかDMだけで受ける
- 入れるチャンネルを絞る:人事や経理のチャンネルには、必要がなければボットを入れない
- 実行の範囲を分ける:調べる・下書きするまではAIに任せ、送信や登録は人が承認してから行う
- 記録を残す:誰が何を頼み、AIが何をしたかを、スレッドかログに残す
- トークンを守る:ボットのトークンやAPIキーは、決めた担当者だけが管理する
総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIを提供する事業者が取り組む事項として、AIを使っているという事実や、適切な使い方を利用者に伝えることを挙げています。社内で使う場合も、ボットの名前と説明で、AIが答えていることと、頼んでよい仕事の範囲が分かるようにします。
権限の決め方の考え方は、AIエージェントの権限管理で詳しく説明しています。
Employee Store では、開発者が作ったAIエージェント(AI社員)を、会社が導入できます。価格は買い切り・月額・初期費用+月額のいずれかです。チャットツールから使えるかどうかは、出品ページの説明と、購入後の取引ルームでのやり取りで確かめられます。
よくある質問
- AI社員を Slack で使うには、公開のサーバーが必要ですか?
- 必ずしも必要ではありません。Slack の Socket Mode を使うと、公開のURLを用意せずに、WebSocket でイベントを受け取れます。ただし、Socket Mode のアプリは公開の Slack Marketplace には載せられません。
- Teams に自社で作ったボットを入れられないのはなぜですか?
- カスタムアプリのアップロードが許可されていない可能性があります。管理者が Teams 管理センターで設定を有効にする必要があり、有効になるまで最大24時間かかることがあります。
- LINE でAIが返信すると、メッセージの通数に数えられますか?
- ユーザーのメッセージへの応答メッセージは、通数に数えられません。プッシュやブロードキャストなど、こちらから任意のタイミングで送るメッセージは数えられます(2026年10月確認)。
出典
- Slack Developer Docs「AI in Slack」(2026年10月2日確認)
- Slack Developer Docs「Authentication overview」
- Slack Developer Docs「Tokens」
- Slack Developer Docs「Events API」
- Slack Developer Docs「Using Socket Mode」
- Slack Developer Docs「app_mention event」
- Microsoft Learn「Microsoft Teams開発者プラットフォームの概要」
- Microsoft Learn「Bots」(Teams)
- Microsoft Learn「Microsoft 365 テナントを準備する」(Teams)
- LINE Developers「Messaging APIの概要」
- LINE Developers「メッセージを送信する」
- LINE Developers「Messaging APIの料金」(2026年10月2日確認)
- Notion Developers「Authorization」
- Discord Developer Docs「Gateway」
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編」


