AIエージェントのフレームワーク|Pythonで作るときの選び方
・ Employee Store 運用局

この記事のまとめ
AIエージェントをPythonで作るときは、フレームワークを使うか、AIモデルのAPIを直接呼ぶかを先に決めます。この記事では、LangChain、LangGraph、OpenAI Agents SDK、Claude Agent SDKを、2026年10月に公式ドキュメントで確かめた内容をもとに比べます。最初の1体を動かす流れもまとめます。
この記事の内容は、2026年10月2日に各社の公式ドキュメントで確かめたものです。フレームワークは更新が速く、関数名や必要な環境が変わることがあります。使う前に、末尾の出典から最新の内容を確かめてください。
AIエージェントのフレームワークは、AIモデルの呼び出し、ツールの定義、会話の状態の管理など、エージェントに共通する部分をまとめたライブラリです。自分で書く量は減ります。その代わり、ライブラリの中で何が起きているかを知っておく必要があります。
フレームワークを使う理由と使わない選択
Anthropic は、エージェントの作り方をまとめた記事で、AIを使う仕組みを2つに分けています。決めた手順どおりにAIとツールを動かすものがワークフローです。AIが自分で手順とツールの使い方を決めるものがエージェントです。
同じ記事は、まず一番簡単な方法を探し、必要なときだけ複雑にすることを勧めています。多くの用途では、AIモデルを1回呼び出し、検索や例を足すだけで足りるとしています。
フレームワークの利点と注意点
- 利点:AIモデルの呼び出し、ツールの定義と読み取り、呼び出しのつなぎ方など、よくある作業を簡単に書ける
- 注意点:抽象化の層が増え、AIへ送った指示と返ってきた内容が見えにくくなる。そのぶんデバッグが難しくなる
- 注意点:簡単な構成で足りる場面でも、複雑にしたくなる
この記事は、まずAIモデルのAPIを直接使って始めることを勧めています。フレームワークを使う場合は、中のコードを理解しておくよう求めています。中の動きを思い違いしていることが、よくある失敗の原因だとしています。
LangChainとLangGraph
LangChain と LangGraph は、どちらも LangChain 社が作っているライブラリです。役割が違います。
LangChain:エージェントの土台を組み立てる
LangChain は、create_agent という関数でエージェントを作ります。AIモデル、ツール、システムプロンプトを渡すと、AIがツールを使いながら答える仕組みができます。ミドルウェアを足すと、ガードレールや再試行、ツールの使い方のルールを後から加えられます。
AIモデルは、OpenAI、Anthropic、Google などの提供元を同じ書き方で呼べます。公式ドキュメントは、少ない変更でモデルを切り替えられると説明しています。LangChain のエージェントは LangGraph の上に作られています。
LangGraph:流れと状態を細かく決める
LangGraph は、長く動き、状態を持つエージェントのための低レベルのオーケストレーションの仕組みです。決めた手順と、AIに判断させる手順を、1つのグラフの中に混ぜて書けます。
- 途中で失敗しても、止まったところから再開できる(永続化)
- 途中で人が状態を確かめ、書き換えられる(ヒューマン・イン・ザ・ループ)
- 会話の中の短期の記憶と、会話をまたぐ長期の記憶を持てる
公式ドキュメントは、エージェントを初めて作る人や、高い抽象度で書きたい人には、LangChain のエージェントから始めることを勧めています。LangGraph は LangChain なしでも使えます。
LangChain の公式ドキュメントは、別の選択肢として Deep Agents も挙げています。文脈の自動圧縮、仮想のファイルシステム、サブエージェントの起動などが、はじめから入った構成です。
各社の公式SDK:OpenAI Agents SDKとClaude Agent SDK
AIモデルの提供元も、エージェントを作るためのSDKを出しています。自社のモデルで使う前提の作りですが、ほかの提供元のモデルを使う方法も用意されています。
OpenAI Agents SDK
OpenAI Agents SDK は、少ない部品でエージェントを作るためのライブラリです。中心の部品は3つです。
- エージェント:指示とツールを持ったAIモデル
- エージェントをツールとして使う仕組みとハンドオフ:ほかのエージェントに作業を任せる
- ガードレール:入力と出力を確かめる
Python の関数をそのままツールにでき、引数の形は自動で作られます。MCP サーバーのツールも呼べます。トレース(実行の記録)がはじめから入っていて、エージェントの動きを見て直せます。OpenAI のモデルでは標準で Responses API を使い、OpenAI 以外のモデルの使い方もドキュメントに載っています。
Claude Agent SDK
Claude Agent SDK は、Claude Code を動かしているのと同じツール、エージェントのループ、文脈の管理を、Python と TypeScript から使えるようにしたライブラリです。ファイルの読み書き、コマンドの実行、Web 検索などのツールがはじめから入っています。
フック、サブエージェント、MCP、権限の設定、セッションも使えます。認証は API キーで行います。公式ドキュメントは、事前の承認がない限り、他社の開発者が自分の製品で claude.ai のログインや利用枠を提供することを認めていません。
LangChain
- create_agent で組み立てる
- モデルの提供元を切り替えやすい
- LangGraph の上で動く
LangGraph
- 流れと状態を細かく決める
- 止まったところから再開できる
- LangChain なしでも使える
OpenAI Agents SDK
- 部品が少ない
- ハンドオフで作業を任せる
- トレースが入っている
Claude Agent SDK
- Claude Code と同じツールとループ
- ファイル操作とコマンド実行が入っている
- API キーで認証する
2026年10月に公式ドキュメントで確認
開発言語はPythonかTypeScriptか
4つとも Python で使えます。2026年10月時点では、どれも Python 3.10 以上が必要です。LangChain と Claude Agent SDK は公式ドキュメントに、LangGraph と OpenAI Agents SDK は GitHub の設定ファイルに書かれています。
TypeScript(JavaScript)でも書けます。LangChain と LangGraph には JavaScript 版のドキュメントがあり、OpenAI Agents SDK には TypeScript 版があります。Claude Agent SDK を TypeScript で使う場合は、Node.js 18 以上が必要です。
| フレームワーク | Python | TypeScript | ライセンス・規約 |
|---|---|---|---|
| LangChain | 3.10以上 | JavaScript 版あり | MIT |
| LangGraph | 3.10以上 | JavaScript 版あり | MIT |
| OpenAI Agents SDK | 3.10以上 | TypeScript 版あり | MIT |
| Claude Agent SDK | 3.10以上 | 対応(Node.js 18以上) | Anthropic の商用利用規約に従う |
どちらで書くかは、エージェントを組み込む先のシステムの言語に合わせると、つなぎの手間が減ります。
販売するものに組み込む場合は、ライセンスも確かめます。LangChain、LangGraph、OpenAI Agents SDK の GitHub リポジトリは MIT ライセンスです。Claude Agent SDK の利用は、自分の顧客に提供する製品で使う場合も含めて、Anthropic の商用利用規約に従うと公式ドキュメントに書かれています。
選ぶときの観点:状態管理・ツール・観測
フレームワークを比べるときは、機能の多さより、作りたいエージェントに要る部分を見ます。見る点は3つです。
状態管理
長い作業や、人の確認を挟む作業では、途中の状態を保存して再開できるかを見ます。LangGraph は永続化と人の確認を中心の機能にしています。OpenAI Agents SDK と Claude Agent SDK には、やり取りをまたいで文脈を保つセッションの機能があります。
ツール
エージェントは、ツールを通して外の仕事をします。自分の関数をツールにできるか、MCP サーバーをつなげるかを確かめます。Anthropic の記事は、ツールの説明と引数を、プロンプトと同じくらい丁寧に作るよう勧めています。MCP の仕組みはAIエージェントとMCPで説明しています。
観測
エージェントは、同じ入力でも毎回違う動きをすることがあります。どのツールをどの順で呼んだかを記録できないと、失敗の原因を探せません。OpenAI Agents SDK はトレースを標準で持ち、LangChain と LangGraph は LangSmith でトレースを見られます。
どんなエージェントを作るか
最小のエージェントを動かす流れ
どのフレームワークでも、最初の1体を動かす流れは似ています。OpenAI Agents SDK のクイックスタートでは、作業用のフォルダと Python の仮想環境を作り、pip で openai-agents を入れます。API キーを環境変数に入れ、名前と指示を決めてエージェントを作り、実行して最終の出力を確かめます。
- 1仮想環境を作るPython 3.10以上
- 2ライブラリを入れる
- 3API キーを環境変数に入れる
- 4指示を書いてエージェントを作る
- 5実行して出力を確かめる
- 6ツールを1つ足すトレースで呼び出しを見る
API キーはコードに直接書かず、環境変数で渡します。ツールは1つずつ足して、動きを確かめます。Anthropic の記事は、ツールの説明を読んだだけで使い方が分かるかを、AIの立場で見直すよう勧めています。
動いたら、止める条件を決めます。同じ記事は、最大の繰り返し回数などの停止条件を入れておくことを挙げています。エージェントは費用が増えやすく、誤りが重なりやすいため、隔離した環境で十分に試すことも勧めています。外部のサービスに書き込むツールは、試した後でつなぎます。
作ったエージェントを売るとき
コードで作ったエージェントを売る場合は、買い手がどこで動かすかを先に決めます。買い手の環境で動かすなら、必要な Python のバージョン、ライブラリ、API キーの用意を導入手順に書きます。AIモデルの利用料を誰が払うかも、販売ページに書いておきます。作り方の全体像はAIエージェントの作り方、複数のエージェントを組み合わせる設計はマルチエージェント構成で説明しています。
Employee Store は、開発者が作ったAIエージェントを、会社が買い切りや月額で導入できるマーケットプレイスです。形式は問わず、自社で開発したエージェント、Claude や OpenAI の API を使ったもの、LangChain で作ったものも掲載できます。掲載料と初期費用はかかりません。手数料は成約金額の20%で、成約したときだけ発生します。
よくある質問
- AIエージェントを作るのにフレームワークは必要ですか?
- 必須ではありません。Anthropic は、まずAIモデルのAPIを直接使って始め、必要になったら複雑にすることを勧めています。フレームワークを使うと共通の作業は減りますが、中で何が起きているかを理解しておく必要があります。
- LangChain と LangGraph はどちらから始めればよいですか?
- LangGraph の公式ドキュメントは、エージェントを初めて作る場合は LangChain のエージェントから始めることを勧めています。長く動く作業で、途中の保存や人の確認を細かく決めたいときに LangGraph を使います。
- Python のどのバージョンが必要ですか?
- 2026年10月時点で、LangChain、LangGraph、OpenAI Agents SDK、Claude Agent SDK は、どれも Python 3.10 以上が必要です。更新で変わることがあるため、使う前に各ドキュメントを確かめてください。
出典
- Anthropic「Building effective agents」
- LangChain Docs「LangChain overview」(2026年10月2日確認)
- LangChain Docs「Install LangChain」
- LangChain Docs「LangGraph overview」
- LangChain Docs「LangChain overview」(JavaScript)
- LangChain Docs「LangGraph overview」(JavaScript)
- LangGraph「pyproject.toml」
- LangChain「LICENSE」
- LangGraph「LICENSE」
- OpenAI Agents SDK(2026年10月2日確認)
- OpenAI Agents SDK「Quickstart」
- OpenAI Agents SDK「Models」
- OpenAI Agents SDK TypeScript
- openai-agents-python「pyproject.toml」
- openai-agents-python「LICENSE」
- Claude Code Docs「Agent SDK overview」(2026年10月2日確認)
- Claude Code Docs「Agent SDK Quickstart」
- Employee Store「出品者向け案内」


