AIエージェントのマルチエージェント構成|サブエージェントと役割分担の設計
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この記事のまとめ
AIエージェントを複数に分け、司令役と担当役で仕事を回す構成をマルチエージェントと呼びます。分けると得意な作業に絞れますが、費用と失敗の起き方も変わります。この記事では、2026年10月に公式情報で確かめた内容をもとに、分けるかどうかの判断から組み方までを説明します。
この記事の内容は、2026年10月2日に Anthropic、OpenAI、n8n、Dify の公式ページで確かめたものです。ツールの機能は更新で変わることがあります。使う前に、末尾の出典から最新の内容を確かめてください。
AIエージェントのマルチエージェント構成は、1つのAIに全部を任せず、調べる係、書く係、確かめる係のように役割を分ける作り方です。人のチームで仕事を分けるのに似ています。ただし、分けるほど良くなるわけではありません。
マルチエージェントとは
Anthropic は、マルチエージェントの仕組みを、複数のエージェントが一緒に働くものと説明しています。ここでのエージェントは、AIモデルがツールを使いながら自分で繰り返し動くものです。
Anthropic の調べものの機能は、この構成で作られています。司令役のエージェントが質問を分析して方針を決め、担当役のサブエージェントを起動します。担当役は並行して別々の観点を調べ、結果を司令役に返します。司令役は結果をまとめ、足りなければ担当役を追加します。
担当役は、それぞれ自分の文脈ウィンドウを持ちます。調べた大量の情報を、自分の中で要点に絞ってから返します。役割ごとにツールと指示を分けられるのも利点です。
1つのエージェントで足りる場合
Anthropic は、エージェントの作り方をまとめた記事で、一番簡単な方法から始め、必要な時だけ複雑にすることを勧めています。多くの用途では、AIモデルを1回呼び出し、検索や例を足すだけで足りるとしています。
マルチエージェントが向かない場面も挙げています。すべてのエージェントが同じ文脈を共有する必要がある作業や、エージェントどうしの依存が多い作業です。たとえば多くのプログラミングの作業は、調べものに比べて並行にできる部分が少ないとしています。向いているのは、並行に進められる部分が多い作業、1つの文脈ウィンドウに収まらない量の情報を扱う作業、多くの複雑なツールを使う作業です。
その作業はどんな形か
代表的な組み方:司令役と担当役
Anthropic の記事は、この組み方をオーケストレーター・ワーカー型と呼んでいます。中心のAIが作業を分け、担当のAIに任せ、結果をまとめます。どんな作業に分けるかを前もって決めず、入力に合わせて司令役が決めるのが特徴です。
任せ方は2通り
OpenAI Agents SDK のドキュメントは、複数のエージェントの任せ方を2つに分けています。
ツールとして使う
- 司令役が会話を持ち続ける
- 担当役は決まった範囲の作業だけを返す
- 最終の答えは司令役が出す
ハンドオフ
- 振り分け役が担当役に会話を渡す
- 担当役がそのまま利用者に答える
- 振り分けそのものが仕事の一部
同じドキュメントは、2つを組み合わせられるとしています。また、流れをAIに決めさせる方法と、コードで決める方法も比べています。コードで決めると、速さ、費用、性能が予測しやすくなります。分類の結果で次のエージェントを選ぶ、前のエージェントの出力を次の入力にする、評価役が合格を出すまで繰り返す、といった組み方が挙げられています。
Claude Code のサブエージェントも同じ考え方です。本体の会話が、説明に合う作業をサブエージェントに任せ、要約だけを受け取ります。設定の書き方はAI社員をClaude Codeで作るで説明しています。
役割分担の決め方と受け渡すデータ
Anthropic の調べものの機能では、司令役が担当役に渡す指示の質が、結果を大きく左右しました。初めは短い指示だけを渡していたため、担当役が作業を取り違えたり、同じ検索を重ねたりしました。
Anthropic は、担当役への指示に次の4つを入れるよう勧めています。
- 目的:何を明らかにするか
- 出力の形:どんな形で返すか
- 使うツールと情報源の案内
- 作業の範囲:どこまでやり、どこからはやらないか
作業の大きさに合わせた担当役の数も、指示に書きます。Anthropic の例では、簡単な事実確認は1つのエージェントでツールを3〜10回呼ぶ程度でした。比べる作業は担当役を2〜4つにし、それぞれ10〜15回呼ぶ程度でした。複雑な調べものでは、10を超える担当役に、はっきり分けた役割を持たせていました。初期の版では、簡単な質問に50の担当役を起動してしまう失敗もありました。
受け渡すデータを軽くする
担当役の出力をすべて司令役の会話に流すと、情報が欠けたり、量が増えたりします。Anthropic は、担当役が成果物を外部の保存先に書き、司令役には軽い参照だけを返す形を挙げています。コードや報告書、表のように形が決まった成果物で効果があるとしています。
ツールの説明も役割分担の一部です。説明が曖昧なツールは、エージェントをまったく違う道に進ませます。ツールごとに目的を1つにし、はっきりした説明を付けます。
n8n・Difyでの組み方
n8n
n8n では、AI Agent ノードがエージェントの中心です。チャットのモデルと1つ以上のツールをつなぐと、エージェントがどのツールを呼ぶかを決めます。AI Agent ノードには、ツールのサブノードを少なくとも1つつなぐ必要があります。
複数のエージェントには AI Agent Tool ノードを使います。中心のエージェントが、ほかのエージェントをツールとして呼び出せます。担当のエージェントの Description には、何を受け持つかを具体的に書きます。中心のエージェントは、この説明を見て任せるかどうかを決めます。担当のエージェントの下に、さらに担当を重ねることもできます。最大の繰り返し回数や、主なモデルが使えない時の予備のモデルも設定できます。n8n のエージェントの作り方はn8nでAIエージェントを作るで説明しています。
Dify
Dify のワークフローでは、Question Classifier ノードで入力を分類し、分類ごとに別の流れへ送れます。分類はAIモデルが行います。それぞれの流れに Agent ノードを置くと、担当ごとに指示とツールを分けられます。Agent ノードでは最大の繰り返し回数を設定でき、無限に繰り返すのを防ぎます。
2026年10月時点でベータ版の新しい Agent は、一度作ると、単独のチャットアプリとしても、ワークフローの中の1つの手順としても使えます。公式ドキュメントは、決まった順の手順や条件の分岐が要る場合や、いくつかの専門のエージェントが作業を引き継ぎ合う場合に、ワークフローの中で使う形を挙げています。
費用と失敗の増え方に注意する
Anthropic の記事によると、同社のデータでは、エージェントはチャットのおよそ4倍、マルチエージェントの仕組みはチャットのおよそ15倍のトークンを使っていました。チャットを1とすると、エージェントは4、マルチエージェントは15です。同社は、マルチエージェントは、この費用に見合う価値のある作業で使うものだとしています。
- 1倍チャット
- 4倍エージェントおよそ4倍
- 15倍マルチエージェントおよそ15倍
Anthropic の記事にある同社のデータ
失敗の起き方も変わります。エージェントは長く動き、多くのツール呼び出しにわたって状態を持つため、小さな誤りが積み重なります。Anthropic は、誤りが起きた時に最初からやり直すのではなく、止まったところから再開できる仕組みを作ったとしています。同じ指示でも毎回動きが変わるため、本番の動きを記録するトレースで原因を調べています。
- 繰り返しの上限を決める:n8n と Dify の Agent ノードは最大の繰り返し回数を設定できる
- 担当役の数の上限を指示に書く
- どのエージェントがどのツールを呼んだかを記録する
- 外部に書き込む操作は、隔離した環境で試してからつなぐ
販売するなら、買い手にこの費用の増え方を説明できるようにしておきます。どのAIモデルの API キーで動き、1回の実行でエージェントがいくつ動くかを、販売ページに書いておくと、買い手が利用料を見積もれます。
Employee Store は、開発者が作ったAIエージェントを、会社が買い切りや月額で導入できるマーケットプレイスです。n8n や Dify のワークフロー、自社で開発したエージェントなど、形式は問いません。掲載料と初期費用はかかりません。手数料は成約金額の20%で、成約したときだけ発生します。
よくある質問
- マルチエージェントにすると精度は上がりますか?
- 作業によります。Anthropic は、並行に進められる部分が多く、扱う情報が多い調べものでは効果があったとしています。一方で、文脈を共有する必要がある作業や依存の多い作業には向かないとしています。まず1つのエージェントで足りるかを確かめます。
- 担当役のエージェントは何個まで作れますか?
- 決まった数はなく、作業に合わせて決めます。Anthropic の例では、簡単な事実確認は1つ、比べる作業は2〜4つ、複雑な調べものは10を超える担当役を使っていました。数が増えるほど使うトークンも増えます。
- n8n で複数のエージェントを連携させるには?
- AI Agent Tool ノードを使うと、中心の AI Agent ノードがほかのエージェントをツールとして呼び出せます。担当のエージェントの Description に受け持つ作業を具体的に書くと、中心のエージェントが任せる相手を判断しやすくなります。
出典
- Anthropic「How we built our multi-agent research system」
- Anthropic「Building effective agents」
- OpenAI Agents SDK「Agent orchestration」(2026年10月2日確認)
- Claude Code Docs「Create custom subagents」
- n8n Docs「Integrate AI」
- n8n Docs「AI Agent node」
- n8n Docs「AI Agent Tool node」
- Dify Docs「Question Classifier」
- Dify Docs「Agent(ノード)」
- Dify Docs「Agent」(新しい Agent)
- Employee Store「出品者向け案内」


