n8nのセルフホスト|Dockerでの立て方とクラウド版との違い
・ Employee Store 運用局

この記事のまとめ
n8nは、自分のPCやサーバーに入れて動かすこともできます。公式ドキュメントは、Dockerを使って立てる方法を勧めています。この記事では、クラウド版との違いから、Docker Composeでの立て方、バックアップ、外から使う設定、アップデートまでを順に説明します。
この記事の内容は、2026年10月2日に n8n の公式ドキュメントで確かめたものです。手順や設定は版によって変わります。作業の前に、末尾の出典から最新の内容を確かめてください。
n8nのセルフホストとは、n8n を自分のPCやサーバーに入れて動かす使い方です。公式ドキュメントは、Docker Compose で立てる方法と、1行のコマンドで立てる方法を案内しています。どちらも Docker を使います。
セルフホストとクラウド版の違い
n8n の使い方は2つです。n8n が運営する n8n Cloud を使うか、自分の環境に入れて動かすかです。公式ドキュメントは、どちらも本番の利用に対応していると説明しています。違いは、誰がサーバーを管理するかです。
| 比べる点 | n8n Cloud | セルフホスト |
|---|---|---|
| 準備 | インストールは要らない | Docker などで立てる |
| サーバーの管理と更新 | n8n が行う | 自分で行う |
| 設定の自由度 | 用意された範囲で選ぶ | 環境と設定を自分で決められる |
| 始め方 | 14日間の試用のあと、有料プランを選ぶ | Community edition はライセンス料がかからない |
| 自分で払うもの | プランの料金 | サーバー代と運用の手間 |
n8n Cloud
- インストールは要らない
- サーバーと更新は n8n が持つ
- 14日間の試用のあと有料プラン
セルフホスト
- Docker で立てる
- サーバー・更新・バックアップは自分で持つ
- Community edition はライセンス料がかからない
公式ドキュメントは、セルフホストには技術的な知識が要ると書いています。サーバーとコンテナの設定、リソースの管理、セキュリティの確保、n8n の設定です。設定を誤ると、データの消失、セキュリティの問題、停止につながります。サーバーの管理に慣れていない場合、n8n は n8n Cloud を勧めています。
セルフホストの版
ライセンスキーを入れずに動かすと、Community edition になります。Community edition は、ほぼすべての機能を含みます。含まれないのは、SSO(SAML、LDAP)と、ワークフローや認証情報の共有です。メールアドレスを登録すると、フォルダなどの機能が加わります。SSO や環境の分離が要る場合は、有料の Business か Enterprise のプランでライセンスキーを受け取ります。費用の比べ方はn8nの料金で説明しています。
必要なもの:サーバーの目安とDocker
公式ドキュメントは、セルフホストのほとんどの場合に Docker を勧めています。Docker は n8n を独立した環境で動かすため、OSや道具の違いによる問題を避けられます。
- Docker Engine と Docker Compose v2。docker compose version で入っているか確かめられる
- Mac と Windows では Docker Desktop を使える。Docker Engine と Docker Compose が含まれる
- Windows では WSL を使う。作業フォルダは WSL のファイルシステムの中に置く
- 外から使うなら、独自のドメインと、サブドメインを向けるサーバー
必要なスペックの目安
手作業で Docker Compose を組む公式ガイドは、メモリ4GB以上、vCPU 2つ以上を求めています。このガイドの構成には、n8n Assistant がAIの生成したコードを動かすためのサンドボックスが含まれます。サンドボックスは Docker の中で Docker を動かすため、通常のコンテナより余裕が要ると説明されています。
n8n は、各ノードが取得・処理するデータの量を制限していません。扱うデータが大きいワークフローや、同時に動くワークフローが多いと、メモリが足りなくなることがあります。公式ドキュメントは、メモリを増やすか、データを小さく分けて処理する方法を挙げています。
npm でのインストールについて
npm でのインストールは、n8n 3.0 から非推奨です。公式ドキュメントによると、n8n 3.0 は2026年10月に公開予定で、そこからは Docker でだけ配布されます。これから自分のPCにインストールするなら、Docker を前提にします。
Docker Composeで立てる流れ
公式ドキュメントには、Docker を使う方法が2つあります。
- 1行のコマンドで立てる:curl -fsSL https://get.n8n.io | sh を実行すると、Docker の確認、n8n フォルダと設定ファイルの作成、起動までを行う。自分のPCで試すのに向く
- Docker Compose のファイルを自分で書く:設定を細かく決めたい場合や、サーバーで公開する場合に使う
どちらの方法でも、自分のPCでは http://localhost:5678 をブラウザで開くと n8n の画面が出ます。
サーバーで公開する場合の手順
Linux サーバーで公開する手順は、公式ドキュメントの Use Docker Compose にあります。流れは次のとおりです。
- Docker と Docker Compose を入れ、docker --version と docker compose version で確かめる
- DNS に A レコードを追加し、n8n 用のサブドメインをサーバーのIPアドレスに向ける
- 作業フォルダに .env ファイルを作り、ドメイン名、サブドメイン、タイムゾーン、証明書用のメールアドレスを書く
- 同じフォルダに compose.yaml を作る。公式の例では、n8n と Traefik の2つのコンテナを定義する
- sudo docker compose up -d で起動する
- 1Docker と Compose を入れるバージョンを確かめる
- 2DNS に A レコードサブドメインをサーバーへ向ける
- 3.env を書くドメイン・タイムゾーン・メール
- 4compose.yaml を書くn8n と Traefik
- 5docker compose up -dHTTPS で開く
公式の例の Traefik は、TLS/SSL 証明書の管理と通信の振り分けを受け持つプロキシです。起動後は、設定したサブドメインとドメインの組み合わせ(例:https://n8n.example.com)で開けます。この構成では HTTPS でだけ接続でき、HTTP では開けません。
データの保存とバックアップ
n8n は、標準では SQLite に認証情報、過去の実行、ワークフローを保存します。データベースのファイルは ~/.n8n/database.sqlite です。Docker では、この .n8n フォルダを n8n_data ボリュームとして /home/node/.n8n に割り当てます。割り当てると、コンテナを作り直してもデータが残ります。
利用者が少数を超える場合や、ワークフローを常に動かす本番では、公式ドキュメントは PostgreSQL を勧めています。対応する版は PostgreSQL の 17 と 18、互換のための 16 です(2026年7月時点の記載)。
暗号化キーを失わない
n8n は、初回の起動時に暗号化キーを作り、.n8n フォルダの config ファイルに保存します。認証情報は、このキーで暗号化してからデータベースに保存されます。キーがないと、復元したデータベースの認証情報を読めません。PostgreSQL を使う場合も、.n8n フォルダはバックアップの対象です。環境変数 N8N_ENCRYPTION_KEY で、自分で決めたキーを使うこともできます。
バックアップの取り方
- .n8n フォルダ全体を保存する。SQLite の場合は、n8n を止めてからコピーする
- PostgreSQL を使う場合は、データベースの道具でバックアップする
- コマンドで書き出す:n8n export:workflow --backup と n8n export:credentials --backup で、ワークフローと認証情報を JSON ファイルにする
コマンドでの書き出しには、ユーザーと権限、実行の履歴、変数、暗号化キーを含むインスタンスの設定が入りません。ワークフローを別の環境へ移すには足りますが、全体の復元には .n8n フォルダとデータベースのバックアップが要ります。--decrypted を付けた書き出しは認証情報が平文になるため、使い終わったら消します。
外から使うときの設定:ドメイン・HTTPS
外部サービスから Webhook で呼び出すには、n8n がインターネットから届く場所にある必要があります。外から使う場合は、ドメインと HTTPS を用意します。
HTTPS の設定
公式ドキュメントは、HTTPS の方法を2つ挙げています。推奨は、Traefik などのリバースプロキシやネットワークロードバランサーを n8n の前に置く方法です。証明書の更新も任せられます。もう1つは、環境変数 N8N_SSL_CERT と N8N_SSL_KEY で証明書を n8n に直接渡す方法です。この場合、証明書の更新は自分で管理します。
Webhook のURL
n8n は、N8N_PROTOCOL、N8N_HOST、N8N_PORT を組み合わせて Webhook のURLを作ります。リバースプロキシの後ろで動かすと、内部のポート5678と公開側のポート443が食い違います。この場合は次の設定をします。
- 環境変数 N8N_WEBHOOK_URL に公開側のURLを設定する。以前の WEBHOOK_URL は n8n 2.35.0 から非推奨
- 環境変数 N8N_PROXY_HOPS を 1 にする
- 最後のプロキシで X-Forwarded-For、X-Forwarded-Host、X-Forwarded-Proto のヘッダーを渡す
公開した後の権限や認証情報の守り方は、n8nのセキュリティにまとめています。
アップデートの手順
n8n は、ほぼ毎週新しいマイナー版を出しています。本番向けは stable で、最新の版は beta として配られます。beta は不安定な場合があります。公式ドキュメントは、少なくとも月に1回は更新し、一度に多くの版を飛ばさないよう勧めています。
- 更新の前に、.n8n フォルダとデータベースのバックアップを取る
- リリースノートで、互換性のない変更がないか確かめる
- compose ファイルのあるフォルダで docker compose pull を実行し、新しいイメージを取得する
- docker compose down で古い版を止めて削除する
- docker compose up -d で新しい版を起動する
- 1バックアップ.n8n フォルダとデータベース
- 2リリースノートを読む互換性のない変更を確かめる
- 3docker compose pull新しいイメージを取得
- 4docker compose down古い版を止める
- 5docker compose up -d新しい版で起動
1行のコマンドで立てた場合は、curl -fsSL https://get.n8n.io | sh -s -- --upgrade で更新します。有料プランの Environments を使える場合は、テスト用の環境で先に更新を試せます。
セルフホストで作ったワークフローを売るとき
セルフホストの n8n は、Sustainable Use License で提供されています。使えるのは、自社の内部の業務、非商用、個人の利用です。ライセンスのページは、ワークフローの作成などのコンサルティングやサポートで料金を取ることを認めています。社内の業務として使う条件は、顧客が自分のアカウントをつないでワークフローを作れる形で n8n を提供しないことです。迷う場合は、ページにある n8n の窓口に確かめます。
Employee Store は、開発者が作ったAIエージェントを企業が導入できるマーケットプレイスです。n8n のワークフローも出品できます。掲載料と初期費用はかからず、手数料は成約金額の20%で、成約したときだけ発生します。詳しくは出品者向けの案内をご覧ください。
よくある質問
- n8n のセルフホストに料金はかかりますか?
- Community edition はライセンス料がかかりません。サーバー代、ドメイン、更新やバックアップの手間は自分で持ちます。SSO などの機能を使うには、Business か Enterprise のライセンスキーが要ります。
- 自分のPCで試すだけなら、何を用意すればよいですか?
- Docker を入れます。curl -fsSL https://get.n8n.io | sh を実行すると、設定ファイルの作成から起動までが進みます。起動後は http://localhost:5678 をブラウザで開きます。Windows では WSL を使います。
- SQLite と PostgreSQL のどちらを使えばよいですか?
- 試すだけなら標準の SQLite で動きます。利用者が少数を超える場合や、ワークフローを常に動かす本番では、公式ドキュメントは PostgreSQL を勧めています。どちらの場合も、暗号化キーのある .n8n フォルダはバックアップします。
出典
- n8n Docs「Host n8n」(2026年10月2日確認)
- n8n Docs「Choose how to use n8n」
- n8n Docs「Install with Docker」
- n8n Docs「Install using Docker Compose」
- n8n Docs「One-line setup」
- n8n Docs「Use Docker Compose」
- n8n Docs「Compare editions」
- n8n Docs「Choose n8n's database」
- n8n Docs「Fix memory issues」
- n8n Docs「Back up and restore」
- n8n Docs「Set a custom encryption key」
- n8n Docs「Set up SSL」
- n8n Docs「Configure webhook URLs with reverse proxy」
- n8n Docs「Update n8n」
- n8n Docs「Sustainable Use License」
- Employee Store「出品者向け案内」


